Welcome to フィリピン !

フィリピンのお役立ち情報を日々提供します!

マニラにミシュラン1つ星の味を伝える - Kam's Roast -

5月15日、SM メガ・ファッション・モール (SM Mega Fashion Hall) 内に、ミシュラン一つ星を獲得しているレストラン、Kam’s Roast(甘牌焼鵝)がが開店しました。

「フィリピンの人みんなは、週末に香港へ行くと、Kam’s RoastのFlying Duckの箱を持って帰国します。100mlのソースを運び込むことができるほどの特別な箱です。だから一目見てすぐわかります」とFoodee Global ConceptsのCOO、Eric Dee氏は話します。

Kam’s Roastは、かつてミシュランの星を獲得したことがある香港の中華レストランYung Kee Heritage Restaurant(鏞記酒家)の創業者の家系、祖父で創業者のKam Shui Fai氏、父親のKam Kinsen Kwan Sing氏、そして孫のHardy Kam氏の流れを汲みます。総料理長のWong Kwan Sang氏はKam一族の下で30年間働いていました。

Hardy氏とWong氏が鏞記を離れると決めた時、周囲がざわめき出しました。「世間は、鏞記酒家のお家騒動だ、これからどうなるんだ?という感じでした。だから、二人が店から飛び出た時、周囲の注目は新たに立ち上がる予定のブランドに集まりました」とDee氏はその頃の状況を話します。Kam’s Roastはわずか開店から4か月でミシュラン一つ星を獲得するという栄誉に輝きました。

若き美食家であるDee氏はMesa, Sunnies Café, Davide Oldani’s FOO’D, Bench Café, Todd English, Tim Ho Wanなどと言った有名レストランを所有しています。彼はフィリピン人の味覚を熟知している一方、海外のトレンドも熟知しています。その感性ゆえ、彼のレストランの中からミシュラン掲載店が5店も誕生したのも納得です。しかしこのことは必ずしも喜ばしいことではありません。

Dee氏は事業の難しさをこのように語ります「あまりにも高い期待感をいただいているので、それがもろ刃の剣にもなりえる。もし期待を裏切れば、大いにがっかりさせることになります。ミシュランの星を獲ることよりも重要な事は、総合的に物事を捉えることです。適切に事業を遂行できているか?もしそうであれば事業はうまく行く、期待に沿うことができなければ、自らを殺す結果になる!」

フィリピンにおいては香港の店からいくつかの変更点を強いられています。例えば、香港で使っているガチョウのロースト(焼鵝)に替えて、マニラにあるこの店では、鴨のローストを提供しています。これは、ガチョウ肉がフィリピンにはなく、また中国からの家禽類の輸入は禁止されているためです。それでも、味は香港のものに忠実です。

Kam’s Roastではガチョウの代わりに、アイルランド産の鴨肉のローストを提供しています。Dee氏は「鴨は海外から輸入した品種ですが、ダバオへ空輸され、そこで育てられたものです」と説明します。

豆腐のマリネは絹のようにやわらかで、かつ風味豊かです。野菜の中では最も食欲をそそらないと思われているきゅうりが、独特の調味料で和えられて、ロックスター級の料理にまで高められています。食べ止められないほどにシャキシャキとした、きゅうりのマリネを忘れずに注文してください。

続いて、ピータン料理”Kam’s Special Lava Century Egg”です。昔ながらの中華料理店で、下手に調理された上にアンモニア臭を漂わせるピータンを目の当たりにしたことがある人は、これが出されると嫌な顔をするかもしれません。しかし、ここのピータンは、添えられている生姜の漬物のスライスが、流れ出てくる濃厚な黄身の味を引き立たせて、想像を超える一品になっています。

続いての料理はワンタンスープ。Dee氏曰く、ワンタンの具にエビが詰められているため、店のメニューの中で唯一のシーフードとのことです。香り高い温かなスープにチンゲンサイが入ったこのワンタンスープには、味わいが心の底に染みるほどの落ち着きがあります。

そして、主役である鴨肉のローストの登場です。Dee氏の説明を総合すると、鴨肉は1日かけて「エアコン、除湿機、送風機が備えられた特別装置」で乾燥され、その後、ビネガーと水に漬けられると皮がふっくらし始めます。そして再び丸1日吊るして乾燥させます。

その後、ロースターで調理されます。香港で使われてきた昔ながらの上から吊るす形のロースターとは違い、この店ではハイテク仕様の、前から鴨肉を入れる形のロースターを使います。1日あたり60個の鴨肉がローストされ、腹を空かせた客にもてなされます。

SMメガ・ファッション・モールの3階にあるKam’s Roastは、12人が座れるプライベートルーム2室を含む54席を有しています。

このレストランで供される鴨肉ローストは、香港の雰囲気を感じさせてくれます。薄くてサクサクした皮に覆われた、照りのあるモモ肉のスライスが惜しげもなく出されます。ハーブとスパイスが鴨肉に擦り込まれており、内側からいい香りが漂ってきます。まさに豪華なごちそうである上、たくさんいただくことができます。

しかし、それ以上に舌がびっくりするのは豚肉料理です。サクサクとした皮の焼豚は絶品です。ここに、非常にスパイシーなことで有名な自家製マスタードがかかりますが、正直なところ、マスタードはなくてもいいです。焼豚だけでも十分なほどに完璧な料理です。

ここでは三枚肉の焼豚チャーシューも食べられます。2種類のチャーシューが提供されています。値段が張るトロチャーシューは、霜降りの量が多く、柔らかでジューシーです。もう一つは通常価格のチャーシューで、霜降りが少なくて固めですが、その分、体に優しいです。これはどちらを注文するかというおいしさのジレンマに陥ることでしょう。味の点ではトロチャーシューよりも通常のチャーシューが断然良いと思います。どちらもおいしさを引き立てるカラメル状のバーベキュー・クランチが乗せられています。初めての来店であれば、どちらも試してみたいという欲求から、両方とも注文したくなるでしょう。

Dee氏は「当店の調理人は、フィリピンの豚肉は東南アジアの中でも最高だと主張します。香港、マレーシア、タイで当店の料理を試食してもらったところ、豚肉料理に関しては、地元の料理よりもずば抜けて良い評価をもらいました」と話します。

Kam’s Roastは5月15日に一般営業を開始しました。半年以内にテイクアウトも始める予定です。もう香港へ行く必要はなくなります。

* * *
Kam’s RoastはSMメガ・ファッション・モールの3階にあります。