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大量のフィリピン訪問者の全てが善人とは限らない

フィリピン訪問者に関するコラムの御紹介です。

フィリピン政府は中国政府との関係改善に腐心していますが、民衆レベルでは中国に対する警戒感が高まっていることをうかがわせます。

 

多くの中国人がフィリピンの地を踏みます。そのおかげで両国間の人的関係が強まっています。しかし、ごくわずかな数の犯罪者によってその信頼関係は破壊されることもあります。犯罪者の種類は、軽犯罪者から誘拐事件の常習犯、麻薬取引人、詐欺犯までさまざまです。根が親切なフィリピン人は知らない間に事件に巻き込まれたり、被害を受けたりすることがあります。

2017年、41人の中国人がシンガポール人女性の身代金誘拐の罪で逮捕されました。捜査において、容疑者たちはさらに香港の女性と中国人男性の誘拐への関与もわかりました。さらに多くの数の中国人がギャンブルによる借金の形と称して同胞人を不法に拘留した罪で逮捕されました。この高利貸しの集団はカジノで負けた者を食い物にし、高金利の即日ローンを組ませます。支払いに困った債務者は、祖国にいる親戚が、混乱状態の中、金をかき集め終えるまで、ホテルの部屋で手足を拘束されていたのです。

誘拐の被害に遭ったマカオ出身のある元カード・ディーラーは、拷問された後、幸運にも誘拐集団によって病院の中で置き去りにされて助かりました。 2017年の報告書によると、フィリピン国家警察の誘拐対策班は、中国人の高利貸しやフィリピン人密売人の約1,200人を監視対象としています。中国系フィリピン人のNGO団体Movement for Restoration of Peace and Orderは、2017年、中国人の誘拐被害者19人の救出を手助けしました。 ちなみに、2016年には誘拐事件は11件でした。フィリピン人の運転手、ボディーガード、通訳が、この凶悪犯罪に巻き込まれていました。

麻薬売買も同様です。当局が麻薬取締を厳しく行う一方、中国人の犯罪組織が多額の金をフィリピン人に渡し、麻薬の密輸、保管、流通の支援もしくは幇助をさせました。2017年、税関が605kg、64億ペソ相当の覚せい剤(フィリピンでは日本語から来たのか”シャブ”と表されます)を遅ればせながら差し押さえましたが、これは厦門から密輸された分のわずか15%だったとされています。国家刑務所から指示を送る5人の麻薬の大物のうち2人は、誘拐の罪で終身刑の身です。そして彼らによって刑務所の職員が腐敗の道へ進むことになるのです。

別に、卑劣なフィリピン人による中国人の来訪者への事件はなかった、と言っているわけではありません。タガログのことわざにあるように、どの森にもヘビはいる、つまりどんなところにも悪い者はいるわけです。現に2017年、中国人投資家と観光客を誘拐したそれぞれの事件で、5人の現役警官と解職された元警察官が逮捕されました。

入国管理局によると、2016年から2018年5月にかけて、約312万人の中国人がフィリピンに入国しました。そのうち、中国本土からは244万人、それ以外が香港、マカオ、台湾からの入国者です。中国人の来国者数は、2016年の102万人から2017年には138万人に急増しました。2018年の最初の5カ月だけでも、中国人訪問者は71万7618人に達し、これは昨年の同期間より56%増加になります。

フィリピンに来るのは観光客だけでなく、衣料品やハイテク機器のトレーダー、オンラインゲームの技術者、農業関連のビジネスマンもいます。ひと目につかない部分であれば、商売は正当なものです。北京とマニラの大使は、互恵の観点から入国制限を緩和することに合意しました。それでも、中国人の大量流入に心穏やかではないフィリピン人がいるのも確かです。ある上院議員は、移住してくる中国人の増加と、それにより、フィリピン人の雇用がどの程度奪われたかの調査を求めています。

入国管理局は、2018年1月から5月の間に、764人の中国人の入国を禁止しました。入国時、フィリピン国内に滞在可能かどうかの明確な根拠が示されなかったためです。それでも悪党たちは国内に入り込んできます。中国人の法執行者により捜索を受けている人物も含む、中国人の詐欺集団は、同胞人だけでなく、本来なら頼りになるはずの中国系フィリピン人に対しても詐欺を働いているとされています。外国人はフィリピン国内での土地所有を禁止されているにも関わらず、詐欺集団は不動産の取引すらしています。犯罪者のやり口は、時には即席の結婚をさせるなどして、フィリピン人のパートナーを取引の代役にしつつ、その後金を取り上げて逃げるのです。その結果、パートナーは一文無しにされてしまいます。

フィリピン人であれば、こうしたやり口に用心するに越したことはありません。

 

 

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