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ユニセフ「紛争から1年、マラウィの子どもは依然として危険な状況下にある」

フィリピン南部ミンダナオ島マラウィでの過激派掃討作戦から1年が経ちましたが、10万人以上の子どもが現在でも家がない生活を強いられています。

紛争の影響で被る様々な問題はいまだに増えつつあり、特に、幼児の栄養失調や、学校に戻ることができない就学児の問題は深刻さが増しています。

国連児童基金(ユニセフ)は、子どもやその家族がこのような切迫した事態から完全に回復できるようにするため、南ラナオ州全体に行き渡る支援を呼びかけています。

南ラナオ州における子どもの生活状況は、紛争前からフィリピン国内で最低水準でした。国内で最貧困地域にあたる同州では、60%の家族が貧困状態で生活し、州内の大半で必要なサービスを十分に受けることができない状態です。

家を失った家族の多くがマラウィから南ラナオ州の他の地域(一部は北ラナオ州)へ移住する中、南ラナオ州が子どもへ必要なサービスを提供する能力、および受け入れ家族が家を失った親戚を迎え入れる収容能力も、さらなる課題になっています。

約50万人の子どもを含む、多くの家族が住むところを失い、マラウィを離れていきます。受け入れ家庭の子どもは、そこに身を寄せる子どもと共に住居、食料、身の回りのもの、学習用具を共有しています。

「4万人の家族をマラウィの家に帰還する手助けができた点は良い進展だったと言えますが、多くの子どもは依然として通常の生活から程遠い状態にいます。マラウィを離れた子どもだけでなく、その他39自治体に住む子どもに対しても、広範囲な支援が必要です」とユニセフのフィリピン代表Lotta Sylwander氏は語ります。

南ラナオ州の子どものうち約半分は、マラウィ紛争よりも前から栄養失調状態でした。生計を立てる手段がなくため、身の回りのものを売らなければ、被災家庭はさらなる貧困状態に陥ります。その結果、子どもが摂取する食事の量・質ともに低下し、栄養失調の危険がさらに増大しています。

ユニセフは、地域を拠点とする栄養プログラムへの追加投資と、南ラナオ州内の世帯収入の回復を目的とした金銭支援プログラムが実行されないと、栄養失調で苦しむ子どもの数は増加し、一部の子どもは生命に関わる重度の急性栄養失調に陥ると危惧しています。

また、同機関はこれまでに約10万人の子どもが1年間学校教育を受ける機会を失っている可能性がある点も危惧しています。教育サービス支援に向けて資源を集中し、すべての子どもが学校に戻ることができるようにしなければ、多くの子どもは2年間学校教育を受けることができず、教育上完全に取り残される可能性が出ます。

ユニセフでは紛争勃発直後から子どもとその家族向けの支援を続けています。各種支援団体と共にこれまで以下の支援を行っています。

• 避難所及び支援家庭にいる生後6か月から59か月の乳幼児4万人に対して栄養失調の有無の検査、急性栄養失調に陥った214人の救命施設への移送
• 10万人以上に対する公衆衛生及び衛生管理に関する周知活動、2万人以上に対して安全な水を確保できるようにする改善活動、及び約40万人に対して、メディアを通じた必要不可欠な水道、公衆衛生及び衛生管理に関する情報提供の活動
• 3万5,000人の子どもが学校へ戻るための支援と、そのうち6,500人の子どもに対する学習用具の提供
• 8,000人の子どもに対する、心理的回復を行うサービスを含む安全な場所の確保
• 水・衛生プロジェクト(WASH)、教育、栄養、子どもの保護を行うため、技術的支援を通じた政府主導の支援団体との協調の強化

 

 

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