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現代に、かつての豪華なディナーを完璧に甦らせる - レオン・ギャラリー

素晴らしいアート、アンティーク、食事とマニラのあらゆる部門の古物商トップ75人が組み合わさったら何が起こるでしょうか?それはまさに、食と芸術の爆発だ!というべきものです。

最近行われた「パンパンガの懐かしき完璧な晩餐 (A Kapampangan Feast Past Perfect)」と銘打たれた、6品の料理で構成される、独特なフォーマルディナー。もっと高い金額を出しても問題ないなら、12品のディナーコースもあります。

しかし、クリスティーナ・”キット”・オングピン・ロハス夫人(Ma. Cristina “Kit” Ongpin Roxas)に敬意を払って作られたこの豪華なディナーを提供するレオン・ギャラリーに集う人々にとって、独特なものは至って普通なものです。

招待状には彼女について「フィリピンアンティーク界の第一人者」と説明されていました。しかし、これはフィリピンの文化において最もエキサイティングだった数十年間を彩った人物に対して控えめな表現です。

レオン・ギャラリーのディレクター、ジェイミー・ポンス・デ・レオン氏(Jamie Ponce de Leon)は、オングピン家について、「ウィルデンスタイン家(20世紀を代表する、影響力が高い芸術ディーラー)に相当する一家であり、あらゆる美術に対して持っていた審美眼に敬意を払っている」と言い直しました。ディナーは、パンパンガ州アパリットにあった、アルネド家(Arnedo)の歴史ある豪邸「ラ・サルペーニャ」(La Sulipeña)のテーブルに饗されます。それにちなんで、食事もパンパンガ風のものを選ぶことになりました。そうして、私は今回のイメージを描くことができたと思います。ジェイミーは、私の料理について精通しており、これまで何度も私の自宅やレストラン”Bale Dutung”で食事をしてもらったことがあるので、私にディナーの説明という仕事を任せました。
彼と何度も考え出し、そして相談しあって、6品のメニューが完成しました。ただしこれはアルネド家での晩餐の再現を試みたものではありません。というのも、控えめに言うならば、そこでの晩餐は最低でも3日間ノンストップで食べまくるものだったからです。むしろ、私達が目指したものはパンパンガでのおもてなしが、どれほどまでに豪華で洗練されており、そして何と言っても華麗であるかを目に見える形にすることでした。
パンパンガ州アパリットのサルパン地区にあったシオコ-アルネド家(Sioco-Arnedos)の歴史ある豪邸「ラ・サルペーニャ」は、パンパンガ川、カルンピット川、バリウォグ川が集まる三角地帯にあります。豪邸には船着き場があり、ここを訪れる客は皆、政府要人から大司教、2つの帝国(スペイン、アメリカ)の総督、ロシア、イングランド、カンボジア、日本の皇族、はたまたホセ・リサールやアントニオ・ルナ将軍などの英雄と言った人物であっても、マニラからボートに乗ってやって来ました。大変な船旅を終えた訪問客は、豪邸に2-3泊するのが常でした。そこで24時間365日ノンストップのご馳走でおもてなしを受けたのです。このときの宴会で使われたテーブルが、6月9日にレオン・ギャラリーで行われたオークション”Spectacular Mid-Year Auction”の目玉の1つでした。
テーブルの周りを取り囲むのは、極上のフィリピンアートが作り出す圧倒的な光景です。壁に掛けられているのはフェルナンド・アモルソロ、ヴィセンテ・マナンサラ、ベネディクト・カブレラ(通称「ベンカブ」)から、マカーリオ・ヴィタリス、オスカー・ザラメダ、ロナルド・ベンチュラ、ジョン・サントスなどの作品です。それらはかつて、インチョウスティ家、メリアン-ゾベル家、ペドロサ家といった名士たちが所有していたものです。
スポットライトの下には、あのホセ・リサールがダピアンで逃亡生活をしていた際に制作した美しい木製バーレリーフです。
弦楽四重奏団がフィリピンのクラシックを演奏してくれました。この選曲が、グレゴリオ・デヘスース、テオドア・アロンソ・リサール、M.H・デル・ピラーなどの手紙といった、後日行われるオークションで出された国宝級の品々をうまく引き立たせてくれていました。
私と共にこの美食者たちの宴を計画したのはLa Tascaでした。このレストランより、パーティーの配膳などの点で助言をいただき、マニラ中の目利き鑑定士を満足させるディナーを提供することができました。アートディレクターはリリアン・”タッツ”・マナハン(Liliane “Tats” Manahan)が担当してくれました。彼女はテーブルセッティングや花、アンティーク品のシルバーの燭台、象牙製の宗教用具をジェイミーのコレクションより選んでくれた上に、彼女の手書きのカードを作ってくれました。
客が到着すると、チェリートマトの酢漬けが添えられた「ピティティアン(pititian)」(パンパンガ風1口サイズ堅揚げ「チェチャロン(chicharon)」)とサバヒーのパイがボールに入れられて提供されました。飲み放題のシャンパンが夜のムードを高めてくれます。外が燃えるように暑かったこともあり、とにかく体を冷ます目的で、冷製スープ「ブーランラング ナ ウラング (Bulanglang na ulang)」です。これはパンパンガ川産の淡水エビが入ったグアバのガスパッチョがコースの1品目として運ばれてきました。
2品目は2種類のシシグの「共演」、冷製テリーヌ「マリムラ (Marimla)」と、骨の髄まで染み渡りそうに熱い「マパリ (Mapali)」です。3品目は餅米を使ったミニサイズのパンパンガ風パエリア(Bringhe)。パンパンガの至宝であるカニ味噌(taba ng talangka)の風味が加わっているので、おそらくはフィリピンで唯一のいい香りがする餅米の料理だと思います。そこにサクサクの蟹の脚が乗せられています。続いて、カリカリに揚げたテラピアの三枚おろしのフライと、新鮮なマスタードの葉が添えられた「バロバロ(balo-balo)」(発酵米のエビ添え)という、やはり一般的なパンパンガ料理が出されます。その後、メインディッシュ前のお口直しとして、ジンジャーレモングラスのソルベ(salabat sorbetes)が出されます。
そしてついに、メインディッシュの「スリパナ風メヌード」(Menudo Sulipeña)の登場です。一般的な豚肉の煮込み料理であるメヌードというよりは、びっくりするくらいにおいしいオックステールシチューです。あまりもの柔らかさで、口に入れた瞬間、バターのように溶けて消えるくらいでした。ゼリー状にまで煮込まれた柔らかなメインディッシュと言っても差し支えないでしょう。料理の味を高めるため、厳選のロゼ、赤、白ワインが提供されます。
ディナーコースの締めは、パリで言うところのフロッタントにあたる「カノニゴ(Canonigo)」、それに人気パティシエ、ヘニー・シソン(Heny Sison)に作っていただいた、豪華な「トシノ・デル・シエロ(tocino del cielo)」(一口サイズでどれにも卵黄入り)、ストロベリーたっぷりのショートケーキ、そしてパンパンガ州サンタ・リタ名物のカシューナッツとヌガーのお菓子「トローネス デ カソイ(urrones de casuy)」が出されます。
しかし、これでは終われぬと、ジェイミーは深夜まで残っていた何人かの客に「さらに食事を!」とリクエストしました。それを受けて、La Tascaから、デ・バティロルのホットチョコレートが添えられた「エンサイマダ(ensaimada)」、焼きハムのパンデサル(pan de sal)、ケソンプティ(kesong puti)チーズが用意されました。この世はそう簡単には終わりを迎えません。

 

 

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